全ての金属導体を共通に接続し、各部の電位差を低減することで火花放電や感電、機器の絶縁破壊を防止する手段をIEC・JISでは、雷等電位ボンディングと呼びます。その具体的な方法として、建物鉄骨や配管などの金属体と電気設備の接地を連接します。 電源線や通信線では、接地極や金属導体に直接接続することはできないため、SPDを用いて接続します。電気室や分電盤、MDF室などにおいて雷等電位ボンディングを行います。
雷保護の基本は「接地とボンディングによる等電位化」であり、接地とボンディングは非常に重要です。
接地については、建築物全体との等電位化を図るため、構造体利用接地またはB形接地極システム(環状接地極、網状接地極、基礎接地極)とし、各電気設備の接地も統合するのが望まれます。
別接地とする場合には、接地間用SPDを用いることで、雷サージ侵入時に等電位化を図ることができます。
建築物内部の電位差発生防止のため、雷保護ゾーン境界でのSPDによるボンディングだけでなく、建築物の鉄骨や鉄筋などを相互接続し、接地極システムとボンディングすることで、ボンディング回路網を構築します。
建築物には、さまざまな配線が引き込まれています。接地間の等電位化を図っても、電源線や通信及び信号線などから雷サージが侵入します。
それぞれの侵入経路に対して最適なSPDを取り付け、等電位化を図ることで機器を守ることができます。
敷地外で落雷が発生した場合でも、建物接地間による電位差が発生するため注意が必要です。特に広範囲に配線された設備は、雷サージの影響を受けやすく、より重点的に対策する必要があります。
雷の電流は電位が高い所から低い所へ流れます。
高電位の箇所から低電位の箇所に電流が流れます。その時、機器に異常な電流(雷サージ)が通過するので、機器に被害を及ぼします。
例えば、上図のように接地が複数ある場合は接地間に電位差が発生し、接地を経由して雷サージが流入出します。
建築物内の金属導体(接地端子や電源線など)を連接して等電位化することにより、雷サージに起因する電位差を最小限に低減します。
例えば、上図のようにそれぞれの接地を連接し、等電位化を図ることで電位差は解消されます。
電気を物理的なイメージとして捉えるとき、電気(電荷)の位置エネルギーのことを電位といいます。電位とは0V(大地など)に対するある点の電圧を指します。また、電位差とはある2点の間の電圧の差、その電位と電位の差を電位差といいます。例えば、一点Aから他の点Bに電気が流れる時、「AはBより電位が高い」「BはAより電位が低い」といいます。
電気設備技術基準などでは、安全重視の視点から、「避雷針接地」「A種接地」「B種接地」「C種接地」「D種接地」「ELCB 接地」などの種類に分け、従来は単独接地を基本としており、特例として接地の共用が認められています。2011年の改正で金属構造体を使用した共用接地工事が取り入れられました(電気設備技術基準の解釈の解説18.1図参照)。
JISでは、雷害防止のために各種接地をすべて統合した一点接地(統合接地)とすることで、等電位化を図ることがよいとしていますが、情報通信機器などに対するノイズ干渉の問題や、B種接地統合による短絡事故防止などのために、部分的に単独接地を必要とする場合があります。
このような場合に等電位化を図る方法として、主接地端子盤や各フロアの接地端子盤において、接地電極間をSPDを介して接続し、雷サージによる電位差が発生した場合にのみ各接地極間をSPDで短絡させる方法が効果的です。
使用するSPDは、主接地端子盤にはクラスⅠ対応の接地間用SPD、各フロア接地端子盤にはクラスⅡ対応の接地間用SPDを推奨します。