雷は夏に多く発生する気象現象だと思われがちですが、実は冬でも雷は発生します。日本の日本海沿岸以外では、ノルウェーの大西洋沿岸に限られた気象現象であり、世界的にみても非常に珍しい気象現象です。
秋田県から鳥取県にいたる日本海沿岸、及びその海岸線から約35kmまでの内陸部に多く発生しています。その中でも新潟県から福井県にかけての日本海沿岸地域は激雷地区となっています。
冬になると大陸からの冷たい季節風(シベリア気団)によって海上に雲が発生します。その雲が気流に乗って日本海を横断してくる時に、冷たい季節風と本州沿岸を流れる暖流(対馬海流)との温度差によって発生した豊富な水蒸気を含むことで、百m〜数百mの低空に雷雲を形成します。
その後、雷雲は前線や上昇気流によって日本海沿岸から山間部にかけて広範囲に広がり、雪を降らすと共に落雷が発生します。特に、雷雲が低空で形成されるため、山間部や平野部でも高い構造物がある所は集中的に落雷します。
夏の雷は、ほとんどが下向きに雷の放電が開始しますが、冬季雷では多くの場合、上向きに放電が開始します。建物の先端など、高い構造物から空に向かって放電を始めます。
冬季雷のエネルギーは非常に大きく、夏の雷のエネルギーに比べ100倍以上に達することもあります。
シベリアからの寒気と、日本海を北上する暖流(対馬海流)との相互作用により上昇気流が生じ、24時間常に発雷する可能性があります。
夏の雷は何度も放電を繰り返しますが、冬季雷は一発雷と呼ばれ、多くの場合1度放電すると、しばらくの間は放電しません。