用語の説明は主としてJIS C 5381シリーズに基づく。
過渡的な過電圧を制限し、サージ電流を分流することを目的とするデバイス。このデバイスは、1個以上の非線形素子を内蔵している。従来は保安器や避雷器、アレスタ、サージアブソーバなどと呼ばれていたものの総称。
防護する回路に対して分流するように接続するSPD。1ポートデバイスとは、1端子対または2端子間に入・出力端子をもつSPDである。入力端子対と出力端子間に直列のインピーダンス(抵抗、インダクタンスなど)をもたない。
端子対又は4端子間に入・出力端子をもつSPD。入力端子対と出力端子対間に直列のインピーダンスをもつ。
サージを印加していない場合は高インピーダンスであるが、サージ電圧に応答して瞬時にインピーダンスが低くなるSPD。電圧スイッチング形SPD内に用いる一般的な素子には、エアギャップ、ガス入り放電管(GDT)、サイリスタ形サージ防護素子(TSS)などがある。これらを“クローバ素子”ということがある。電圧スイッチング形SPDは、不連続な電圧-電流特性をもつ。
サージを印加していない場合は高インピーダンスであるが、サージ電圧及び電流の増加に従い連続的にインピーダンスが低くなるSPD。電圧制限形SPD内に用いる一般的な素子には、バリスタ(MOV)、アバランシブレークダウンダイオード(ABD)などがある。これらを“クランピング素子”ということがある。電圧制限形SPDは、連続的な電圧-電流特性をもっている。
電圧スイッチング形の素子及び電圧制限形の素子の両方を併せもつSPD。印加電圧の特性に応じて、電圧スイッチング、電圧制限またはこれら両方の特性を示すことがある。
JIS C 5381-11に定めるSPDの試験クラス。
JIS C 5381-21に定めるSPDの試験クラス。試験カテゴリとしてA1 〜 D2まで10種類のカテゴリが規定されているが、当社では次の2種を選択実施。
SPDに連続して印加してもよい最大電圧の実効値または直流電圧。
電源用SPDのクラスⅠ及びクラスⅡ試験において、SPDに流れる電流波形が8/20μsである電流の波高値。JIS C 5381-11ではInに15回以上耐えることが要求される。
電源用SPDのクラスⅡ試験において、SPDに流れる電流波形が8/20μsである電流の波高値。
電源用SPDのクラスⅠ試験において、SPDに流れる電流波形が10/350μsである電流の波高値。JIS C 5381-11では動作責務試験において最大連続使用電圧を課電しながら、Iimpに1回以上耐えることが要求される。
通信及び信号用SPDの試験において、規定した回数、波形及びピーク値のインパルス電流を印加できるSPDの性能。
カテゴリC2試験では8/20μs波形を10回、カテゴリD1試験では10/350μs波形を2回印加。
SPDの端子間に発生する制限電圧の最大値。電源用SPDでは、公称放電電流(In)印加時に発生する電圧(15項の図のEs)を示す。通信及び信号用SPDでは、カテゴリC2に規定する雷インパルス電流印加時に発生する制限電圧の最大値を示す。
放電電流の通過によってSPDの端子間に発生する電圧のピーク値。
ガス入り放電管(GDT)などを使用したSPDが雷サージを放電し終わった後も、電源系統の電流がアーク放電で流れ続ける現象。SPDの内部要素で続流が遮断可能な最大電流を続流遮断容量という。
2ポートSPDにおいて、SPDが防護している出力側に接続した負荷に供給できる最大連続電流の実効値または直流の電流。
電圧制限形SPDの電圧−電流特性において、小電流領域の所定の電流に対する端子電圧波高値を動作開始電圧という。電流としては、交流抵抗分電流波高値又は直流電流を用い、通常は直流電流1mAを流した時の電圧をいう。
雷サージのような過渡的な異常電圧以外に、電源系統の地絡事故や高低圧混蝕により、比較的継続時間の長い過電圧が生じる。SPD選定時にはこの一時的過電圧に耐えるように選定しなければならない。なお、通常TOVの値は交流の場合は実効値で示される。
定格電圧が72.5kV以下の電気機器の外郭による保護等級の分類。(JIS C 0920参照)
SPDが故障した場合にSPDを系統から切り離すための装置。内蔵又は外付けし、系統の持続的な故障を防ぐ。また、故障したことを表示する機能を持ったものもある。
通信又は信号用SPDにおいて、SPDを接続することにより生じる信号の損失。通常はデシベル(dB)で表示される。
SPDの端子間に持つコンデンサ成分で、通常はピコファラッド(pF = 10−12F)で表示される。静電容量が小さいほど、高周波信号を通しやすい。
伝送線路にインピーダンスの不整合があると、進行波の一部がその点で反射され、逆方向に伝搬する波(反射波)を生じ、線路には進行波と反射波が合成された波が生じる。これを定在波と呼び、定在波の最大値と最小値の比を定在波比(VSWR)と呼ぶ。反射が無い場合にはVSWRは1となり、この値が低いほど反射が少ないことを示す。
不平衡な電気信号を伝送するための被覆電線の一種で、円形をした内部導体を絶縁体、その周囲を外部導体、そして最後にシース(保護被覆)で覆っている円形のケーブル。特性インピーダンスは、50Ω(3D-2V、5D-2V、8D-2Vなど:主に無線機などの電力の伝送用)と75Ω(3C-2V、5C-2Vなど:主にテレビ受像機などの信号伝送用)が一般的である。
ケーブルや無線などを使って、同じ建築物の中にあるコンピュータや通信機器、プリンタなどを接続し、データをやり取りするネットワーク。より対線や同軸ケーブル、光ファイバーなどで配線するものを「有線LAN」、電波を用いるものを「無線LAN」という。初期の10Mbps(メガビット毎秒)の10BASE-Tから、その10倍の100Mbpsの伝送能力がある100BASE-TXが普及し、今日では1Gbpsの1000BASE-Tが普及している。
EthernetのUTPケーブル(ツイストペアーケーブル)を利用して電力を供給する技術。IEEE802.3afとして標準化され、IEEE802.3atとして拡張された。
PoE(802.3af)ではカテゴリ3以上のケーブルを使用し、送電側から15.4W(350mA)、PoE +(802.3at)ではカテゴリ5e以上のケーブルを使用し、送電側から34.2W(600mA)を給電できる。また、ケーブルに電力を給電する方法は通信に使う2対に電力を重畳して供給する「AlternativeA(typeA)」と、未使用の2対を使う「AlternativeB(typeB)」がある。主に、電力供給の困難な場所に設置される機器、Webカメラ、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイント、IP電話線などに利用されている。
コンピュータ関連機器間において、データを送受信するための伝送路を1本又は2本使用して、データを1ビットずつ連続的に送受信する通信方式。主に次の方式がある。
開回路の両端で1.2/50μsの電圧インパルスを、短絡回路で8/20μsの電流インパルスを発生する発生器によって与えられる波形。SPDに印加する電圧、電流の振幅及び波形は、発生器及びサージを印加するSPDのインピーダンスによって決まる。短絡回路電流のピークに対する開回路電圧のピークの比は2Ωで、これを想定インピーダンスZfとして定義する。短絡回路電流はIscの記号で表す。開回路電圧はUocの記号で表す。
波頭長が8μsで波尾長が20μsの電流インパルス。
波頭長が1.2μsで波尾長が50μsの電圧インパルス。