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第20回雷写真コンテスト入賞作品発表

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第20回雷写真コンテストに多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
日本各地・海外での撮影など、一瞬の煌めきを撮影された貴重な作品が多数あり、
自然のエネルギーを強く感じました。
この度、審査員の厳正な審査の結果、入賞作品が決定いたしましたので、発表させていただきます。

入賞作品は下記リンクよりご覧いただけます。
https://www.otowadenki.co.jp/contest_category/num20/

審査員講評

 

審査員 東京大学 名誉教授 工学博士 石井 勝氏

第20回のコンテストを迎え、最初の頃を思い出します。雷写真はもともと、写ってしまった写真でした。撮影者が気づかない価値ある写真を掘り起こせる可能性を求めて、このコンテストが始まったと認識しています。19年の間に写真のテクノロジーは大幅な変遷を遂げ、雷写真も意図をもって撮影することが主流になってきました。そうした美しい作品群の中に、学術賞の候補を探すのが楽しみです。今回は国際線のパイロットの方から複数の作品の投稿があり、うち1枚が金賞に選ばれましたが、選外になった1枚は、風防ガラスに走った静電気放電を撮影したものでした。これは雷放電ではないので、厳密にはコンテストの審査対象ではないのかも知れませんが、パイロットの間で現象は知られていても、撮影されたのは初めてではないかと思います。航空機では無害ですが、絶縁物が帯電するメカニズムは異なるものの、人工衛星で生じることがある同様の現象によって、過去には衛星が機能不全に陥ったこともありました。

 

審査員 静岡大学 工学部電気電子工学科 客員教授 工学博士 横山 茂氏

 
今年の作品には、新しい背景のもとで雷放電をとらえた作品が多く見られて、審査員の一人として勉強になると同時に楽しませていただきました。
中でも、「名月を引き込んでくれ避雷針」は、グランプリ作品に最も相応しい作品であると、私は確信しています。岐阜城の端正な堂々とした姿を、雷放電の光が浮き彫りにしている実に格調の高い一葉です。入道雲が背後に迫る様相と上向き雷を見事に捉えた学術的にも興味深い作品です。古い城郭を雷から完全に保護する重要性も一目で理解でき、雷害対策専業メーカーとしての音羽電機工業株式会社の使命がここにはっきり示されることでも、この作品が「雷写真コンテスト」のグランプリ受賞のもう一つの大きな理由でしょう。

 

審査員 NPO法人産学連携推進機構 理事長 妹尾 堅一郎氏

 
写真はどう分類されるのか。人物・動物・植物・風景・山岳・天体・スポーツ・人物…等々、撮影対象ごとの分類が普通である。他方、目的や使用媒体で区分けるやり方もある。例えば、コマーシャル写真(広告や雑誌)、営業写真(記念写真)、報道写真、学術記録写真等々。
両者の交わるところ、例えば人物を報道、記念、肖像、スナップ、学術で撮るのでは明らかに写真が異なるだろう。人物の容姿だけでなく、その「ヒトとなり」、つまり内面も感じさせるものが評価される。それは衣装、表情、撮影技術のどれによるのか…、実はどれでもなくて、どれでもある。同様に、カミナリ様を対象とする雷写真は、造形的に美しいだけではなく、その「カミナリとなり」を捉えることができたら、素晴らしいはずだ。この観点による未開拓領域に挑戦する人が増えることを期待したい。

 

審査員 デザイナー 喜多 俊之氏

 
雷写真コンテストは第20回を迎え、太古の昔から変わらない自然現象の一瞬を捉えた作品が応募されました。数多くの作品の中から選ばれたグランプリ作品は、お城の静かな佇まいを中心に、月の光と雲、稲妻の動的な表情を捉えています。金賞は暮れゆく大空の中で光る雷光。銅賞は、走行する車のヘッドライトとテールライトがつくる光の往来、そこに一瞬、雷の煌めきが加わり、人々の日常を鮮やかに切り取った構図が印象的です。学術賞はスカイツリーに雷光が群がるような作品。
今回も世界的にも貴重な数多くの作品が集まり、各地からの雷写真が寄せられました。

 

審査員 音羽電機工業株式会社 代表取締役社長 吉田 修

この雷写真コンテストを始めて20年の歳月が経過しました。地球の温暖化とCO₂削減が日増しに叫ばれ、気象状況も刻々と変化しつつあります。異常気象といわれる時、自然災害も多発、雷も多くなったように思えます。この20年間で環境が大きく変化、そして技術革新も日進月歩で様変わりです。社会はフェイクニュースで溢れ、デジタル化の進展と共に真と嘘の見分ける能力が問われる時代となりました。この雷写真コンテスト審査も課題噴出です。自然の雷写真を追い求め、常に意義を見出し、継続いたします。これからも奮ってご応募よろしくお願い申しあげます。

 

審査同席 公益社団法人日本写真協会会員 (富士フイルム株式会社OB) 山﨑 康生氏

 
入賞者の皆さまおめでとうございます。レベルの高い作品が多数寄せられ激戦でした。
近年カメラの高感度化が進み、「主役の雷」は勿論、背景の雷雲や街並みのディテールが、上手に捉えられ、風景写真として第一級の作品が増えてきました。毎年申し上げておりますが、「雷写真」はまだまだ未開拓の分野です。是非、安全確保を図りながら、写真の醍醐味でもある「究極の決定的瞬間=雷写真」に挑戦して下さい。傑作のご応募をお待ち申し上げます。