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第22回雷写真コンテスト入賞作品発表

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第22回雷写真コンテストに多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
厳正な審査の結果、入賞作品が決定いたしましたので発表させていただきます。
多数の力作の中から選ばれた入賞作品を通じて、一瞬の煌めきである雷の美しさだけでなく、雷の脅威や自然のエネルギーを感じていただければ幸いに存じます。

入賞作品は下記リンクよりご覧いただけます。
https://www.otowadenki.co.jp/contest_category/num22/

審査員講評

 

審査員 NPO法人産学連携推進機構 理事長 妹尾 堅一郎 氏

 
「雷は絵になる」と言うとき、「絵になる」とはどういう意味なのだろうか。辞書的に言えば「絵になる」とは、ある風景や光景あるいは人の佇まい、あるいは所作や仕草などが、美しい姿形なので絵の題材にしたくなるほどの趣がある、ということだ。関西弁の「カッコ良い」より、関東で言う「様(さま)になる」に近いようでもある。では、「雷は写真になる」と言うとき、それはどういうことを指すのだろうか。昭和後半に一般に写真が普及して「写真写り」という言い方がひろまった。近年は「映える(ばえる)」を狙う。視覚表現には、絵画史、映画史、アニメ史、写真史…それぞれ発展の歴史がある。眼に見える「真」を正確に「写」そうとした時代から始まり、技術の進展に伴い「絵になる」表現から「絵に替わる」表現の追求、そして意図的な「映える」の追求まで、その表現や役割・機能・意味は変容と多様化を進めてきた。さらにどのような「雷写真」が導かれていくのか。昨年ご提案したように「雷写真」の再定義が必要な時代だ。それに真摯に向き合いたいものである。

 

審査員 デザイナー 喜多 俊之 氏

 
雷との出合いは偶然が伴い、自然界の中でも貴重な体験です。今年度も雷の一瞬を撮られた多くの作品が集まりました。それら力作が揃った応募作品の中から、グランプリ作品は広がる街の灯を前面に、静かに佇む富士山と、落雷を躍動的な構成にまとめている。金賞に選ばれた「稲妻の横走り」は雷の概念を越えた稲妻の光が、力強く新鮮でした。銀賞の「Heaven’s Wrath」はダイナミックな構図と複数の雷光の煌めきを押さえた作品。銅賞は大空に轟く雷の姿が印象的な力作。学術賞に選ばれた「日本最南端の岬から望む天の川と天を昇るgigantic get」は、まるで宇宙と地球が繋がっていることを想像させるよう。作品それぞれに映し出される閃光や雷鳴といった多種多様な姿は、変化する地球の物語りのひとこまでもあります。

 

審査員 公益社団法人 日本写真協会会員 山﨑 康生 氏

 
入賞者の皆様おめでとうございます。コロナ明けでイベントや旅行の規制が緩和され、全国各地からレベルの高い写真が数多く寄せられました。応募作品を一堂に並べ審査いたしますが、近年の充実ぶりは著しくその中でも、主役の雷を中心に、脇役、背景などが計算され全体のバランスが良い作品が上位に選ばれました。「雷写真」が風景写真の中で、魅力的な新しい分野として定着している証しと推察いたしております。カメラの高感度化が進み、光が少ない場面でも撮り易く成りました。ダイナミックな自然現象「雷写真」に是非挑戦して下さい。更なる傑作の応募をお待ちしております。

 

審査員 気象研究所 主任研究官 吉田 智 氏

 
このたび、初めて雷写真コンテストの審査員を務めさせていただきました。雷は一つとして同じ形を持たない、まさに一期一会の自然現象です。いつ、どこで発生するか予測が難しい一瞬の出来事である雷を写真に収めるのは非常に難しいことです。そんな中、多くの応募者の皆様が工夫を凝らし、素晴らしい作品を応募して下さいました。美しい雷の光を鮮明に捉えた作品や、雷が背景の建物や自然と調和した作品など、思わず見入ってしまうような作品が数多くありました。審査員としてどの作品を選ぶか悩む場面も多々ありましたが、その過程自体を楽しみながら審査を進めることができました。今年の学術賞に選ばれた作品は、学問的にも非常に興味深い一枚です。この作品には、遠く海上で発生した雷が捉えられています。そして雷雲の上部から青や赤の光が上に向かって伸びていることが分かります。この雷雲上部の光は、今回の佳作「神秘の光」のスプライトと同じく、雷雲と電離圏の間で発生する現象で、「巨大ジェット(gigantic jet)」と呼ばれる高高度放電発光現象の一つです。雷写真コンテストで巨大ジェットが受賞するのは今回が初めてです。スプライトも撮影が非常に難しい現象ですが、巨大ジェットはスプライトと比較し発生頻度が低く、写真に収めることが非常に困難です。この受賞作品は、非常に美しく撮影された巨大ジェットを見事に捉えており、印象的な一枚となっています。

 

審査員 音羽電機工業株式会社 代表取締役会長 吉田 修

 
今年もたくさんの応募、有難うございました。一月元旦の能登半島地震に始り、令和六年度は例年に較べ自然災害が多く発生、そのパワーに圧倒されつつ、次回に備える為、復興の為、何をすべきか自問自答の一年でした。全国的に雷も多く発生、落雷時の轟音に体が一瞬、硬直された人も居られるのでは。秀悦な作品が多く、審査員は悩みと嬉しさを感じ、自然と共生、雷を識る審査でした。

 

審査員 音羽電機工業株式会社 代表取締役社長 吉田 厚

 
第22回雷写真コンテストに多数の応募を頂き、誠に有難うございました。毎年たくさんの作品の中から受賞作品を選出しておりますが、今回の審査でも素晴らしい作品が多数ある中、審査を頂く先生方と厳選させて頂きました。審査の中では様々な雷の状態を捉えた作品も多く、作品について意見を出し合う場面もありました。今回学術賞にふさわしい作品も選出され、改めて自然がもたらす現象の素晴らしさを感じました。入賞作品の1つ1つに自然の驚異を感じるとともに、このコンテストが継続出来ますことに感謝の気持ちです。私たちの生活と共存する雷について、これからも雷写真コンテストを通じて探求して参りますので、更に素晴らしい作品の応募をお待ちしています。